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共同抵当

2024年4月1日、A会社はB銀行から弁済期を2026年3月31日として1億円の貸付けを受けた(利息等は割愛する)。この貸金債務を担保するため、同日、A会社の代表者Yが、自らの所有する不動産甲(評価額3000万円)およびY所有の不動産乙(評価額2000万円)に、Bのために第1順位の共同根抵当権を設定して、その旨の登記を経由した。2024年10月1日、XはAから弁済期を2026年9月30日として2000万円の貸付けを受け、この貸金債務を担保するため、Yは不動産甲にXのために第2順位の抵当権を設定して、その旨の登記を経由した。その後、Aの経営は悪化し、BもXもAから全額の返済を受けていない。(1) 2027年2月1日、Bは甲の担保不動産競売を申し立て、同年10月1日に甲の売却代金3000万円を配当として受領した(Aへの配当額は0であった)。同年10月1日現在、Xは乙建物の競売を申し立てることができるか。仮にできるできる場合、板にできる場合、Xは配当手続においていくら受領できるか。(2) 2026年12月1日、Bは、Yから7000万円の代位弁済を受け、Aは乙建物の乙上の抵当権につき、Yのための代位による抵当権移転登記をした。2027年2月1日、Bは甲の担保不動産競売を申し立て、同年10月1日に甲の売却代金3000万円を配当として受領した(Xへの配当額は0であった)。同年10月1日現在、Xは、乙不動産の競売を申し立てることができるか。仮にできる場合、Xは、Bに対して何らかの請求をすることができるか。●解説●1. 共同抵当における異時配当と後順位抵当権者の代位(小問(1))(1) 問題の所在Xは不動産甲上の後順位抵当権者であるので、抵当権の実行として乙不動産の競売を申し立てるためには、Xが乙の抵当権を取得していることが必要である。この他人の権利を行使できる地位にあることが必要である(厳密には、登記上の抵当権を執行すれば執行裁判所は開始決定をし(民執181条1項3号)、抵当権の不存在は請求異議の訴えで争われる(同法182条))。2. 民法392条の適用範囲の限定実際、共同抵当不動産の一つの不動産が物上保証人の所有の場合であっても、参考判例①は、民法392条1項の適用を認め、各不動産の価額に応じて債権の負担を按分し、物上保証人が所有する不動産から債務者が所有する不動産に求償できることを認める。3. 経済の具体的な手順それでは、XはどうすればBの優先弁済権を確保できるのか。Xはまず、甲の売却代金の配当期日Bの債権を留保したうえで(民執85条8項)、配当の変更の訴訟(同項)を申し立てるうえで、配当表の変更を求める訴訟を提起することができる。なお、配当異議の訴えが提起されると、配当異議の申出にかかる部分の配当が留保され、配当異議の申出があった部分の配当が実施されず、配当額は供託される(同法91条1項)。4. 問題の本質**なお、仮にYのBに対する代位弁済があれば、Bの抵当権は、抵当権設定登記に付記登記がなされ、YからXに対する請求は認められない。●関連問題●本問に記載された事実に加え、以下の(1)(2)のいずれかの事実が存在したとする。各場合について、2027年10月1日現在、XはBに対して1000万円の不当利得返還を請求できるか。(1) 2026年12月1日、Yは乙を代金7000万円でZに売却し、同日、Zが代金7000万円をBに支払うとともに乙上の抵当権を放棄した。2027年2月1日、Bは甲の担保不動産競売を申し立て、同年10月1日に3000万円を配当として受領した。(2) 2026年12月1日、Yは乙を代金7000万円でZに売却し、同日、Yは乙を代金7000万円でZに売却し、その代金7000万円をBに支払い、Bはこの担保不動産競売を申し立てた。2027年2月1日、Bは甲の担保不動産競売を申し立て、同年10月1日に3000万円を配当として受領した。●参考文献●清水元・百選Ⅰ 192頁滝澤信彦・最判解平成4年度451頁